nanoSUS® 超微細粒ステンレス鋼
nanoSUS®とは
"超微細粒鋼"は、金属結晶粒を通常の7~10分の1程度にまで微細化させた材料です。
材料成分は変えずに結晶粒径を小さくすることで、材料の強度・加工安定性を向上させることができます。
"nanoSUS®"はステンレス材の結晶を微細化させた、弊社の商標登録製品です。
幅広く利用されるステンレス材を超微細粒鋼に変化させ、新しい分野への展開を進めています。
そして"nanoSUS®"のワイヤー(線材)は唯一小松精機工作所が製造を行っています。
一般材
結晶粒径7.0µm
nanoSUS®
結晶粒径1.4µm
以下
nanoSUS®技術の使用例
末端操作鉗子
内視鏡機器
先端部 外径 0.7 mm鉗子
nanoSUS®の特性
用途に合わせ粒径・強度をコントロール
材料成分の変更や添加物なし
圧延加工技術のみで結晶微細化
- 引張強さで最大20%、硬度で10%の強度が向上できます。
- 材質を変えずに強度を上げることができるため、部品の小型化や薄肉化による軽量化が可能です。
- 疲労特性の向上により、部品の長寿命化を実現。
優れた加工安定性
結晶粒の微細化により加工面形状や加工影響層が安定し、
切削加工時のバリの抑制や曲げ加工時の肌荒れ減少、微細プレス加工時の加工精度が向上します。
マイクロプレスや切削加工時に発生するエッジの変形を最小に抑えることができ、粗さを低減するなど安定した加工面が得られます。
切削加工(引っかき試験)
エッジ精度の
向上
一般材
nanoSUS®
曲げ加工
肌荒れの軽減
一般材
nanoSUS®
切削加工
バリ縮小
一般材
nanoSUS®
微細プレス加工
穴あけ加工への
効果
一般材
nanoSUS®
自社が誇るnanoSUS®のワイヤー製造
特許技術(※)と当社独自の加工方法で、これまで困難だった超微細粒鋼ワイヤー(線材)の製造を可能にしました。
nanoSUS®ワイヤーの粒径サイズを9μm~0.2μmまでコントロールすることができるのは当社だけの技術です。
お客様の製品仕様や用途に合わせ、最適な強度・延性バランスの取れた材料と、それに合わせた適切な加工工法を提案いたします。
(※)nanoSUSは国立研究開発法人物質・材料研究機構が保有している特許を使用して製造しております(JP-4714828-B2)
一般材 | nanoSUS® | ||
---|---|---|---|
7.5~9.0μm | 3.0μm | 1.5μm | 1.0μm |
海外医療機器分野への展開
2020年、アメリカ・ボストンを拠点とした子会社 “Rosies Base Holdings” を設立し、アメリカ市場での医療機器分野への参入を本格化させました。
かねてより自社にて製造・評価研究をおこなってきたnanoSUS®の可能性を広げるべく、さらにアメリカの大学との共同研究を進めて参りました。
nanoSUS®の特性を活かしたバイオ関連・医療機器業界へのグローバルな取り組みを展開していきます。
材料仕様・組織観察
材料仕様・組織観察
鋼種 | ステンレス鋼 (SUS304、SUS301、SUS316、SUS316L、SUS420J2 等) |
---|---|
線径 | φ0.04mm~φ2.6mm |
形態 | 棒材、線材、真直線、撚線 |
粒径 | 0.2μm~9μm ※鋼種による線径、形態、粒径の詳細はご相談ください。 |
粒径保証
結晶粒径の測定
当社では電子顕微鏡"EBSD"を保有しており、結晶組織の可視観察を行っています。
また結晶組織の様子や加工影響層における様々なデータを可視化して分析することが可能です。
イオンミリングによる無応力研磨仕上げの試料作製を行い、加工影響層の可視化や結晶粒径を算出
解析例
φ80μmプレス打ち抜き断面のEBSD結晶組織解析
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